商店街の並びに佇む「ベッカライカフェ リンデ 吉祥寺店」。JR吉祥寺駅から徒歩4分 |
ドイツの伝統的なパンと菓子が約80品目揃う店内 |
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ドイツパンというと、一昔前は、「硬くて酸っぱくて食べづらいもの」というのが、日本での定評だったが、最近は事情が変わってきている。大小を問わず、本格的なドイツパンを製造販売するベーカリーが増え、食べ方の提案を熱心に行なうブーランジェも多くなってきている。本場のドイツパンをそのまま再現することに熱心なベーカリーもあれば、ドイツパンのエッセンスは残しながらも、日本人の好みに合うように独自にアレンジすることに熱心なベーカリーもある。いずれにしても、ドイツパンの文化が、日本の風土を取り込みながら、進化しつつあることは確かなようだ。
パンの説明をするスタッフは、博物館のガイドのよう ベッカライカフェ リンデ 吉祥寺店
ドイツパン初心者のための頼れる店 「常連の方だけでなく、『ドイツパンは初めてなんですが』とおっしゃる方も多く来られます。それが当店の特徴です」 こう話すのは、東京・吉祥寺のドイツパン専門店「ベッカライカフェ リンデ 吉祥寺店」の木村智子店長。同店は、開業した15年前からドイツパンを専門に営業してきた。ドイツでマイスターを取得した職人らが作る「混じりっ気なしのドイツパン」(木村さん)を約70品目揃える。 同店のある吉祥寺界隈は、新しく開発された商業施設と、昭和の時代を色濃く残す「ハーモニカ横丁」がうまく同居し、緑豊かな井の頭恩賜公園があることなどから、観光目的に訪れる人が多い。 「ドイツパンは初めてなんですが」と話す客が多い同店も、観光スポットの一つになっていると言える。「混じりっ気なしのドイツパン」がこれだけ豊富に揃う店は珍しく、初来店の客の中には「ドイツパンと言えば吉祥寺のリンデと聞いたので」という人も多いそうだ。 パン以外にも、「ケーゼクーヘン」(315円)、「ヌスエッケン」(294円)、「アッフェルヌスブロート」(ホール2310円)など、ドイツの伝統的な焼き菓子がショーケースに並ぶ。壁に飾られた写真や絵画もドイツ一色だ。1階の売り場から階段を昇ると、2階のカフェへと続き、ドイツの山小屋風の空間が広がる。カフェで給仕するスタッフの制服は、ドイツの民族衣装をイメージしたデザインだ。店全体でドイツが演出されており、ドイツパン専門店としての専門性の高さが伺える。 初めてドイツパンを食べる人が多く来店する理由は、その専門性の高さゆえの丁寧な説明が受けられることにもあるのだろう。 初来店したある女性客...(月刊ブランスリー2012年9月号へ続く) |