片手に試食のパンを入れたかごを持ち、もう片方の手に、商品をのせたトレイを持って、商品を紹介しながら試食をすすめる |
「野沢菜おやき」(130円)は、焼きたての試食を提供して、自宅に持ち帰って食べる際も、温めて食べれば、同じ焼きたての味が楽しめることをアピールしている |
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ピーターパン小麦の郷
試食販売に着実な手応え 千葉県内に5店舗を展開する郊外型ベーカリー「ピーターパン」(横手和彦社長)の鎌ヶ谷市にある「ピーターパン小麦の郷」は、平日でも100万円以上を売り上げる人気店だ。 「夕方にも、満員電車並みに混雑する昼時に負けない『集客の波』を作りたい」(製造担当の中村尚道さん)と考え、様々な取り組みを始めた。その中で、試食販売に着実な手ごたえを感じているという。
定番商品を試食に出す 「よかったらお一ついかがですか。今焼き上がったばかりなんですよ」 中村さんが、客一人ひとりに声をかけながら差し出しているのは、一口大にカットされた「道野辺あんぱん」(136円)の試食。中身のあんがとろっと顔を出し、焼きたての熱い状態でカットされたのが伝わってくる。陳列棚上では見ることのない「道野辺あんぱん」の姿だ。 試食を差し出された客は、「まあ、焼きたてなのね」と、焼きたての「道野辺あんぱん」を目の前に、まだ口にする前から喜びの表情を見せる。 この日は、日本で初めてあんパンが発売されたとされる日で、そのことにちなみ、「あんぱんの日」として同店の定番商品の「道野辺あんぱん」をピーアール。試食のほか、入り口横には中身のあんが見えるように、真ん中でカットされた「道野辺あんぱん」の展示もあった。 しかし、「あんぱんの日」のこの日だけでなく、「道野辺あんぱん」の試食はかなり頻繁に行っているという。 「当店が押していきたい、そしてお客様にぜひ買っていただきたいと思う商品こそ、試食を出すようにしています。おいしい商品の最もおいしい状態を知っていただきたいからです」(中村さん) 「道野辺あんぱん」は、中に粒あんが「重量が生地の倍量以上、和菓子のような比率でたっぷり入っている」(中村さん)のが特徴。粒あんは1番人気の「自家製カレーパン」(136円)のカレーフィリングと同様、同店の自家製だ。同店は「焼きたて、揚げたて、作り立て」を重視しているが、手間暇かけて作った自家製フィリングも同店の自慢のひとつだ。そのあんがたっぷり入った「道野辺あんぱん」の味を知ってもらうことは、同店のファンを作る最善策と...(月刊ブランスリー2012年5月号へ続く) |