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ブランスリー電脳ちょっとだけ版
おいしいパン作りと効率化は、両立できる - たま木亭の玉木潤社長に聞く [2012年4月号 インタビュー]

 京都府宇治市にある「たま木亭」は、日本中から多くの人がパンを買いに来る人気ベーカリーだ。その評判は、インターネット上でも語られ続け、いまや「伝説のベーカリー」ともささやかれるようになった。しかし、玉木潤社長は、「自分は一般人だし、パン作りは、生活の一部でしかありません」と淡々と語る。「マスコミに頼った売上の急上昇は、危険です。自分の身の丈にあった店舗運営をしていかなければならないと、いつも自分に言い聞かせています」とも。そんな玉木社長だが、淡々とインタビューに応じる言葉の向こうには、パン作りに対する並々ならぬ情熱が見え隠れしていた。

よりおいしいものを食べてほしい
―――玉木さんがパンに関わるようになったきっかけは何ですか?
玉木 あるステーキハウスで、パートのおばちゃんと冷凍生地を使ってフランスパンを焼く仕事をしたのが最初です。それから父親がやっていたベーカリーで2年間働き、次に東京・西葛西のパン技術研究所で勉強しました。さらにセンチュリーホテルのベーカリーで働きました。それから、福盛パン研究所で学びました。そして、ドンクです。ドンクでは9年間お世話になりました。特に仁瓶利夫さんには本質的なことを教えていただきました。厳しい人でしたが、とても紳士的な方です。仁瓶さんはドンクの中でも偉い人だったのですが、新幹線で移動のときなどは、京都で途中下車して、僕が働いていた京都の店に寄っていただいたりもしました。一緒に厨房に入って教えていただいたこともありました。
―――独立したのはいつでしたか? また、きっかけは何でしたか?
玉木 2001年に独立しました。自分がやりたいようにやりたかった、というのが最も大きな理由でした。大きな組織だと、好きなようには動けませんから。あと、信頼している人から、「独立してもやっていける」と言ってもらえたことも大きかったですね。
―――最初の品揃えはどんな感じでしたか?
玉木 商売が成り立つかどうか不安だったし、やはりあたふたしていたと思います。だから、品揃えがどうかなどと考えている余裕はなかったですね。
―――でも今は、日本全国からお客さんがやってくる超人気店ですよね。
玉木 今振り返ると、毎年少しずつ売上が伸びてきました。商品については、お客さんにははっきりとわからないようなマイナーな改良も常にしてきたし、売れ行きがぱっとしないアイテムについては、大きく内容を変えることもありました。「よりおいしいものをお客さんに食べてもらいたい」という気持ちはずっと維持してきたし、これからも持ち続けていくと思います。
―――少しずつ洗練されて、今の品揃えになったのですね。1品目についての販売数量はどれくらいですか?
玉木 大体は200個単位で売れます。カレーパンも一日中揚げている感じです。土日で500個以上、平日だと300個ぐらいですね。でも1日十数個の商品もあります。最低天板1枚分売れれば、...(月刊ブランスリー2012年4月号へ続く)

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