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常に前を向いて進む - 石窯パン工房サフラン小川佳興社長に聞く [2011年11月号 インタビュー(続編)] |
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千葉県内に、郊外大型ベーカリーなどを7店舗展開するサフランの小川佳興社長は、「売れていないところほど、いろんな対策が打ちやすいということに気付かなくてはだめだと思いますよ」と話す。夫婦2人の小さなベーカリーを、年商15億のベーカリー企業に育て上げた小川社長が語る言葉には、ベーカリーの勝ち方のヒントがぎっしり詰まっていた。(前号に引き続き、小川社長へのインタービューの内容を掲載します)
売れない店ほど対策が打てる ―――小川社長は講習会の講師をよくやられますが、業界への貢献という気持ちもあるのですか? 小川 それもありますが、どちらかというと講習会で自分のパンを判断してもらいたいという気持ちの方が強いですね。講習会に来ている人たちは私にとってお客さんなわけですが、パンのプロでもあるわけです。その人達に、自分のパンはいいのか悪いのかを判断してもらいたいんです。自分のパンに興味があるのかないのかを知りたいんです。食いつきが悪ければ、自分のパンに魅力がないということになりますからね。やっぱり講習会に来た人たちが「なるほど」と言ってくれることが正しいことだろうし、自分としては、受講者の人たちから情報をもらっているという感覚ですね。 講習会でやった製品を、受講者の人が自分の店で作って販売し、「すごく売れています」といって電話がかかってくることがあるんですが、とっても嬉しいですね。しかし、「今日50個作って午後2時で売り切れました」といってきたりすると、さっそく苦言を呈しますけどね。だって、2時で売り切れたら、そのあと買いに来る人が買えないじゃないですか。電話してくる暇があったら、追加でどんどん作れ、ということですよね。 ―――サフランさんの場合は、お客さんの動きに合わせて、こまめに焼きたての状態でパンを出し続け、しかもチャンスロスを究極にまでなくしていくというオペレーションだと思いますが、売上の低いベーカリーだとこまめに焼きたてを出すのも難しいと思います。その辺についてアドバイスはありますか? 小川 卵が先か、鶏が先かということですよね。売れるからこまめに作れる、こまめに作るから売れる、という循環ですから、売れないんだったら、一度に10個焼いていたのを、もっと手間をかけて、5個ずつ2回に分けて焼けばいいんですよ。 売れないということは暇なんですから、手間はいくらでもかけられるじゃないですか。5個ずつ2回焼いてみて、それが3回、4回になってきたら、今度は1回に焼く数も増やしていけばいいわけです。売れていないところほど、いろんな対策が打ちやすいということに気付かなくてはだめだと思いますよ。それを、当たり前のように、午後2時になったら、工場を閉めて真っ暗にしてしまっているようでは、いい方向に向かうはずがありません。せめて電気ぐらいつけておいてほしいですよ。
店長の仕事は野球の監督と同じ ―――いい方向に回りだして、売上がどんどん増えてきたときはどんな対応が必要ですか? 小川 チャンスロスを出さないために、計画性をもって回していかないとだめですよね。基本は売れるときに売るということです。売れないときにいくら頑張っても仕方ないわけですから。私は、閉店後に店に残っているパンには文句は言いませんが、チャンスロスに関しては、かなり厳しく言います。 ―――すべての商品についてこまめに焼いてお客さんに焼きたてを出していくのは大変ですよね。 小川 100品目以上あるわけですから、すべての商品については出来ません。でも大体30〜40品目は、焼きたて追求で、チャンスロスゼロを目指し、しっかりと追っかけて(お客さんの来店具合に合わせてタイミングよくパンを出して)いきます。 特に土日はかなりお客さんが多いので、それぞれの商品が、残り数個になってから、次に出す準備を始めても間に合わないので、準備にとりかかるタイミングが難しくなります。一度に作り過ぎないように、しかも切らさないようにしていくのはかなり大変なのですが、そこが腕の見せ所なんですよ。 うちは...(月刊ブランスリー2011年11月号へ続く) |
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