比較的小規模なスーパーでも、いまやインストア・ベーカリーは欠かせないものとなっている |
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スーパーやショッピングセンターの中で、焼きたてパンを提供しているインストア・ベーカリー。強力な集客ツールとして各スーパーがこぞって出店したいわば「店内パン屋さん」も、消費者の節約志向の高まりもあって、かつてほどの勢いはなくなった。スーパー自体が顧客減に悩まされる昨今、インストア・ベーカリーが図る生き残り戦略とは?
流通パンへのシフト傾向も 東京郊外にある某スーパーマーケットのパン売り場。店員が焼きたてパンを陳列するのを待っていたかのように、客が並べたそばから買い物カゴに入れていく。 「どうせ食べるのなら、やはり焼きたてのほうがおいしいので、よく買います。パンだけを買いに来ることはありませんが、焼きあがる時間はいつもだいたい同じ時間なので、その時間に合わせて買い物に来ることはあります」(30代の主婦) パン売り場といっても、大手製パン会社などで製造されたいわゆる袋詰めの流通パンが並んだ売り場ではない。店内で焼いたできたてのパンを並べたインストア・ベーカリーと呼ばれる売り場だ。インストア・ベーカリーとは、スーパー内などでパンを焼き、販売する店のこと。もともと、バブル経済崩壊以降の低迷に悩んだ流通業界が、消費者の選択肢を増やし集客力の向上につなげようと取り入れはじめたのがきっかけで、いまや中規模以上のスーパーなどにはたいてい設けられている。「焼きたて」という付加価値は重要な要素であるという認識がいまや流通業界では常識だ。 たしかに、一時は集客力のアップに貢献したインストア・ベーカリーだが、不況の波は予想以上に高く強かった。2008年のリーマンショック以降、消費者の節約志向は一層高まり、インストア・ベーカリー...(月刊ブランスリー2011年10月号へ続く) |