午前11時の開店時間が近づくと、パンを求めて人が集まってくる。みんな店内を覗きこんで、目当てのパンがあるかどうかを確認。 |
オーナーの草野武さん(左)と尚子夫人 |
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借金をすると、本意でないパンも・・・ 東京・八王子市にあるBoule Beurre(ぶーるぶーる)は、売り場面積およそ2・2坪の小さなベーカリーだ。地元のみずき通り商店街の一角に昨年2月にオープンし、もうすっかり馴染みのベーカリーになった。開店時間の午前11時が近づいてくると、パンを求めて人が集まってくる。開店時には、いつも十数人が並んでいるという。 品揃えはおよそ40品目。オーナーの草野武さんが丹精こめて作ったパンを尚子夫人が、対面で販売する。 草野さんは、もともとは広告制作会社の社員だった。フランスに行ったときに食べたパンのおいしさに感動し、ブーランジェに転身したいと思うようになった。 パンの専門学校で学び、その後、3軒のベーカリーで修業を積んだ。そのうちの1軒は、草野さんが「自分が作るパンはこれだ」と決めていた、茨城県水海道市(現常総市)にあったパンダーチザンニコラ(現在は同守谷市に移転)だった。草野さんが現在製造販売しているパンの多くは、ここで教わったものが原型になっている。 草野さんのモットーは、自分がおいしいと思うパンしか作らないことだ。最初は長期戦を覚悟していた。 「町の人たちに自分のパンを気に入ってもらえるようになるまで、ある程度時間がかかると思っ...(月刊ブランスリー8月号へ続く) |