日本パンコーディネーター協会認定のパンコーディネーターエキスパート、首藤美樹さん |
首藤さんが指導するPOP制作講座の様子 |
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パン好きを増やすために街のベーカリーにできることは何か。消費者心理に詳しいパンコーディネーターエキスパートの首藤美樹さんに話を聞いた。
首藤美樹さん(日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーターエキスパート) パン業界歴8年。大手製パン会社勤務時代から、販売、商品企画、ネット通販企画に携わる。2010年に一般社団法人日本パンコーディネーター協会が認定するパンコーディネーターエキスパートの資格を取得。手書きPOP制作の技術と経験を生かし、日本製粉主催のパンカレッジで、ベーカリー業界者向けの売れるPOP作りの講座の講師を務める。パン教室も主宰。ベーカリーと消費者の両者の事情に精通するプロフェッショナル。フェイスブックでも「手ごねパン pan do coro ぱんどころ」(https://www.facebook.com/pandecoro) のアカウントで情報発信中。
パンの原材料とその産地を表示する ──昨今の消費者のパンに対する意識をどう思いますか。 首藤 多くのベーカリーで主要顧客層と見られる20〜40代の女性達の間で、食に対する安心安全意識の高まりを感じることが増えています。自分の主宰するパン教室や、インターネットのSNSでパン好きの方々のコメントを見ていても、食品の安全安心に対する勉強に熱心な方が目立ってきています。勉強会や講演会へ参加する方も増えています。食品の安全を求めるのは自分や、自分の子供、家族を思いやる気持ちそのもので、これはパン好きの方だけでなく、一般的な消費者意識の傾向だと思います。「物」よりも、安心という「事」が売れている時代です。「安心安全」という「事」が追求されていますね。 私自身は、すべての食品添加物を否定する立場ではありません。それだけに、熱心さのあまり、情報の氾濫するインターネットなどで、「安全じゃないかもしれない」という不安に流され、「添加物はすべてよくない」といった、極端な思考に走ってしまわないか、心配に思うことがあります。 食に対する安心安全意識の高まりに対して、リテールベーカリーがしてくれたらいいなと思うのは、原材料とその産地の表示です。リテールベーカリーが積極的に情報公開することで、安心安全意識の高まった消費者の心を掴めると思います。気にする消費者は、商品の原材料とその産地をしっかり読みますから、表示する意義はあると思います。 また、SNSも含めて、口コミで情報が回っていく流れを顕著に感じています。食品の不安情報も流れていきますが、「原材料表示があり、安心なお店」と好印象を得られればそれも広まっていくでしょう。 また、正しい情報を表示することで安心な商品だとアピールできれば、外国人客にも、日本のパンの良いイメージを感じてもらえると思います。それが日本のパンの特長として認識されたら良いなと思います。...(2014年4月号へ続く) |