鳴尾御影線沿いにある「ビオブロート」。静かなたたずまいの街で、ゆったりとした空間を提供する |
早朝から作業を続ける松崎太さん。2001年にドイツで製パンマイスターを取得した |
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「ベッカライビオブロート」は、JR神戸線・芦屋駅から徒歩8分余り。国道2号線と平行して走り、洒落た飲食店が沿線に散在すると評判の道路、鳴尾御影線沿いにある。 製パン経験16年を迎えるオーナーの松崎太さん(40歳)は、2005年3月にオープンする前に、偶然に鳴尾御影線を通り、沿線の雰囲気が気に入って、現在地にオープンすることを決めた。希望の神戸ではなく、しかも住宅地で、付近にはあまり商店も見かけない立地だが、隣にある公園や街の雰囲気に自然と馴染んでいるようだ。 同ベーカリーでは、カナダ産の有機小麦を自家製粉して、全粒粉100%のパンを提供する。副資材のほとんども有機だ。客に安心して食べてもらいたいとの姿勢が受け入れられているからこそ「景観」の一部としても街に存在感を示しているのではないか。 毎日焼き上げる17品目のうち8割以上を全粒粉100%で8年間作り続ける松崎さんは、大学卒業後1年間事務職についたが、本気で取り組みたい仕事ではないことに気づいた。学生時代に陸上競技に打ち込んでいたことから、身体を使い、しかも経験が蓄積できる仕事に就きたいと考えた末、昔からあり、これからも存在し続ける職業としてベーカーを選択した。 1年間京都のベーカリーで修業後、ドイツで製パンマイスターの資格を取得しようと、1997年にドイツに渡った。見習いとしてドレスデンで修業を...(月刊ブランスリー2013年6月号へ続く) |