調理パン部門優勝の今井悠輔さん(クラブハリエ ジュブリルタン=滋賀県彦根市) |
実行副委員長の小此木正博氏 |
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日本人の日本人による日本人のためのコンテスト
大阪市住之江区のインテックス大阪を会場に開かれた「2013モバックショウ」(第23回国際製パン製菓関連産業展、主催=協同組合日本製パン製菓機械工業会)の会場で、3月6日から8日までの3日間、製パン技術選手権大会「ベーカリー・ジャパン・カップ」の決勝大会が開催された。主催は全日本パン協同組合連合会とパン食普及協議会。開催意義や今後の展望について、実行副委員長の小此木正博氏(リテイルベーカリー協同組合理事長)に話を聞いた。
日本の製パン業界に合った技術向上と活性化を重要視 ──「ベーカリー・ジャパン・カップ」の開催の目的について聞かせてください。 小此木 開催目的はもちろん製パン技術を向上させ、技術者同士の切磋琢磨を図ることです。思えば意外なことですが、これまで全国規模の本格的な製パン競技会は国内に存在しませんでした。ようやく実現できたところです。 ──今大会の特徴は。また、クープ・デュ・モンドやibaカップとの大きな違いは。 小此木 クープ・デュ・モンドやibaカップにはそれぞれ大事な開催意義があります。前者はフランスのパン、後者はドイツパンの技術研鑽になります。そして評価基準に芸術性が加味されているのも特徴です。 一方、ベーカリー・ジャパン・カップは、日本の製パン技術及び製パン業界の技術向上と活性化を重要視しています。その点が大きな違いで、最も重視したことです。例えば、我々は競技の課題に「調理パン」「菓子パン」「食パン」を採用しています。理由は、この3つが日本のベーカリーの売上の主力であるからです。具体的に、一般的な売上比率は、それぞれ調理パン15%、デニッシュ、ドーナツを含む菓子パン30%、惣菜パン20%程度で、この3種の合計が売上の多くを占めるベーカリーが多いわけです。その点で、店の主力商品に取り組む競技会になっています。 競技スケジュールもそれに合わせて組んでいます。海外大会は、パン職人が長期間店を開けることになり、対応できるベーカリーが限られてしまいます。我々の大会では、遠方から参加しても準決勝は日帰り可能、決勝で1泊程度の滞在を想定しました。参加のしやすさでも、国内事情に合わせています。 そして最も大きな参加利点は、大手を含むマスコミやメディアの取材があることです。大会当日だけでなく、後日優勝作品について取材が続いていると聞いています。当日の主な取材はテレビ朝日の密着取材と、NHKでも取り上げられました。優勝者の出身地の地方局も来ていたようです。参加者の出身地にもスポットを当てているので...(月刊ブランスリー2013年7月号へ続く) |