この間、山田洋次監督を紹介するテレビ番組を観た。淡々と流れる平凡な日常生活の中の喜びや悲しみ、怒りなどを、丹念に拾い上げて、彼独特の飾らない感性で表現した珠玉の映画たちは、今の時代にあって、その存在意義をますます増しているような気がする。
山田監督は、デジタル全盛のこの時代にあって、撮影は昔ながらのフィルム撮影にこだわっているそうだ。スタッフ陣もかなり多くて、これもフィルム撮影の昔のスタイル故とのことだ。
私は、昔の話だが「幸せの黄色いハンカチ」を観て感動した。当時、まだ女性と付き合ったことがなかった私は、「いつか自分もこんな恋愛がしたい」と思ったものだ。
山田監督が言った次の言葉が、私の心に深く刻まれた。 「日常生活の中で、心の底から湧き出てくるさざなみのような笑いを伝えたい」
お笑い芸人全盛のテレビ界で、威勢のいいハイテンションの爆笑が一般的になり、それはそれでいいのだが、なんか笑いのための笑いが多くなってしまったような気がして、少し違和感を感じてしまう。ハイテンションで笑っていないと、仲間はずれにされてしまいそうな強迫観念がはびこってはいないだろうか?無理に笑わなくてもいい世の中の方が健康的なような気がする。みんなが自分の個性で自然体で生きられる世の中の方が健康的な気がする。
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